楽天モバイルが販売している「LG Q Stylus(エルジー キュー スタイラス)」は、手ごろな価格ながら専用のペンを本体に内蔵し、いつでもさっと手書きができるのが特徴。同様の機能をもつ製品は現状Galaxy Noteシリーズしかなく、高価で手が出なかった人も少なくないでしょう。 LG Q Stylusは、データSIMと同時に申し込んでも3万9800円で購入できるため、ずいぶん手軽です。今回はLG Q Stylusの手書き機能を含めて、手ごろな価格のスマホとしての魅力を探っていきます。

本体は大型でワイドディスプレイを採用

LG Q Stylusは、手書きが特徴のため大画面ディスプレイを搭載しています。サイズは6.2インチで、大型化が進む最近のスマホの中でもかなりの大きな画面のモデルと言えます。同じように大画面のiPhone XS Maxと比較してみましょう。 本体サイズは、iPhone XS Maxより大きいのです。手の小さな人は持つのが大変なので、覚悟して手に入れてください。もちろん、手書きができるスマホの画面が小さくては意味がないので、これは使い勝手とのトレードオフです。 少し残念なのが、本体はiPhone XS Maxより大きいにもかかわらず、ディスプレイのサイズが小さいことです。iPhone XS Maxはほとんど額縁のない設計なのに対し、LG Q Stylusは上下に縁(フチ)があるためです。このあたりは価格差もあるので、致し方ありません。

手書きが可能なLG Q Stylus

左のiPhone XS Maxと比べても、少し大きな大画面モデルだ

液晶画面はやや暗いものの許容範囲

本体のデザインはクセがなくシンプルなので、無難に選べるはずです。本体カラーはモロッカンブルーとラベンダーを用意しており、今回は前者のブルーをレビューします。 背面パネルは樹脂製ですが、メタリックの仕上げで見た目は上々です。よく見ないと気が付きませんが、うっすらと横ストライプが入っているのも特徴的な部分です。個人的には「QStylus」というロゴがちょっと強すぎるように感じます。もう少し抑えめのほうがシックな感じになると思うのですが、好みによるかもしれません。 ディスプレイは液晶を採用しています。上位モデルは有機ELなので少々差があり、比較してみるとかなり暗く感じます。それでも数年前の格安スマホと比べるとかなり質が上がっていて、普通に使うには十分です。ただ、10万円クラスのスマホとは違いがある点は理解しておきたいところです。

背面は樹脂製のパネルだがさほどチープ感はない

よく見ると横のストライプが入った仕上げだ

左のiPhone XS Maxに比べるとかなり暗い

斜めから見ると差が大きくなる

ゲームなどヘビーな用途には向かない

背面には指紋センサーを搭載します。最近は顔認証だけのモデルも増えていますが、指紋センサーも使いやすいので、どちらがよいかは好みによります。ただ、背面の指紋センサーはケースを取り付けると指が当てづらくなることがあるため、気をつけたいところです。 SIMトレーは、nanoSIMを1枚とmicroSDカードをセットできます。本体のストレージが32GBしかないのがウィークポイントであるため、音楽や写真、動画などはmicroSDカードへ保存することをおすすめします。たくさんのゲームなどをインストールしたい人はストレージが不足する可能性があるので、他の製品を選んだほうが無難です。 プロセッサはSnapdragon 450で、ベンチマークの結果はあまり振るいませんでした。2万円クラスのスマホと同等か、少し劣ると考えればよいでしょう。RAMも3GBしかないので、ヘビーな用途にはおすすめしません。なお、ケーブルの接続はUSB-Cを採用しており、将来も安心して使えるはずです。

背面に指紋センサーを搭載する

nanoSIMを1枚と、microSDカードをセット可能

ベンチマーク結果はあまり振るわず、格安スマホの中でもやや物足りない

ペンは専用だがGalaxy Note(Sペン)には及ばず

LG Q Stylusに付属するペンはかなり細めで、本体に内蔵できるようになっています。スマホのペンは内蔵できないと持ち歩きづらく、また紛失しまうこともあるので、このスタイルがベストです。 ペンは専用品で、細いペン先で筆記できるようになっています。いわゆる静電容量タイプですが、市販のスタイラスペンと比べると細いのが特徴です。他のスマホとの互換性はなく、たとえばiPhone XS Maxにこのペンで筆記することはできません。 書き味は市販のスタイラスには勝りますが、「iPad+ApplePencil」や「Galaxy Note 9+Sペン」に比べるとかなり劣ります。素早く書くと線が消えてしまうことがありますし、筆記中にも手や指に反応してしまうのです。上手に書くには、ペン先だけが画面に触れるように工夫する必要があります。 シリーズ最上位の手書きモデル「Galaxy Note9」レビュー【ドコモ・au】新型iPad(2018)レビュー:高コスパでApple Pencil対応、初タブレットにも最適なモデル ペン先はよく見ると布になっています。滑りもよく、書きやすいのですが、このタイプは劣化が気になります。どちらにせよ大量に筆記するのではなく、ときどきメモを書くような使い方に向きます。

ペンは本体に内蔵できるようになっている

ペン先をよく見ると布製だ

ペンは細いので長文を書くと疲れてしまう

手書きアプリはよくできている

スタンバイの状態でペンを抜くと、「画面OFFメモ」が起動して素早く筆記できます。起動中にペンを抜けば、素早く書ける「Pop Memo」やスクショなども貼り付けられる「Qメモ+」などを起動できるランチャーが表示されます。 手書きアプリはなかなかよくできており、素早く情報を記録するのに便利です。その他の手書き対応アプリでも問題なく使えるはずです。Google Keepでテストしてみましたが、快適に筆記できました。 機能をまとめると、市販のスタイラスと専用ペンの中間程度と考えるとよいでしょう。市販のスタイラスより細いペン先で快適に書けます。素早く書くと線が途切れがちなのが弱点です。また、Bluetoothでペアリングしていないために、ペンのボタンに色々な機能が割り当てられているような使い勝手の良さはありません。筆圧にも対応していないようです。

起動状態でペンを引き抜くとランチャーが表示される

スタンバイ状態だと画面OFFメモが表示される

こちらは専用メモアプリ「Pop Memo」

カメラはシングルで1600万画素だが上々だ

カメラはシングルで1600万画素です。最近は2万円台のスマホでもダブルカメラが当たり前になっているので、ちょっと見劣りするように感じるかもしれません。しかし実際に撮影してみると、「なかなかいい」という印象です。 今回はiPhone XS Maxと比べてみました。もちろん、詳細に比べていくとすべてての写真で劣っています。とはいえ、LG Q Stylusで十分だと思うユーザーも少なくないでしょう。全体に白飛びがしやすいのが気になるところですが、あまりこだわりがなければ納得できるはずです。 実際に使っていて課題になるとすれば、やはりストレージの少なさです。32GBの容量では、動画を撮影するとあっという間に不足します。撮影機会が多いなら、microSDカードは必須です。追加で購入すると、価格は(本体を含めて)4万円を超えてしまうのがちょっと痛いところです。

通常撮影

朝の光が差している公園で撮影。LG Q Stylusは滑り台の一部が白飛びしている

暗所撮影

暗い室内で撮影。LG Q Stylusは見た目以上に明暗の差がはっきりした

近接撮影

花を近くから撮影。LG Q Stylusは全体がやや明るすぎる

まとめ

専用のペンで手書きができるスマホは選択肢が少なく、特にこの価格帯だと唯一のモデルになります。市販のスタイラスよりは間違いなく書きやすく、いちいちペンを持ち運ぶ必要もないのがいいところです。残念ながらGalaxy Note 9の代わりのような書き味は望めませんが、手ごろな価格で大画面のスマホを求めていて、たまには手書きもしたいと考えている人にはおすすめできます。 ちょっと気になったのが、バッテリー容量が3300mAhしかないことです。容量的にはさほど少なくはないのですが、本体の大きさを考えるともう少し増やしてほしいところです。レビュー中は輝度を最大にしていたこともあってか、ちょっとバッテリーの減りが早く感じました。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部